大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

前橋地方裁判所 昭和56年(わ)157号 判決

事件名

所得税法違反

被告人

本籍

長野県南安曇郡奈川村二五五七番地

住居

館林市大字下三林八四四番地

土木請負業

野邑喜作

大正三年八月一五日生

公判出席検察官

冨田益行

主文

被告人を懲役一年及び罰金二、〇〇〇万円に処する。

この裁判確定の日から三年間、右懲役刑の執行を猶予する。

右罰金を完納することができないときは、五万円を一日に換算した期間、被告人を労役場に留置する。

訴訟費用は全部被告人の負担とする。

理由

(罪となるべき事実)

被告人は、館林市大字下三林八四四番地に居住し、土木建築業を営んでいるものであるが、所得税を免れようと企て、売上の一部を除外するとともに架空の外注費を計上するなどの方法により所得を秘匿したうえ

第一  昭和五二年一月一日から同年一二月三一日までの間における総所得金額が六二、五一九、五六二円で、これに対する所得税額が三二、五六三、五〇〇円であるのに、昭和五三年三月一五日、館林市仲町一一番一二号所在の館林税務署において、同税務署長に対し、総所得金額が六、二八四、四五一円で、これに対する所得税額が八四一、二〇〇円である旨の虚偽の所得税確定申告書を提出し、もって、不正の行為により、昭和五二年分の正規の所得税額との差額三一、七二二、三〇〇円の所得税を免れ

第二  昭和五三年一月一日から同年一二月三一日までの間における総所得金額が七八、四二五、四五七円で、これに対する所得税額が四三、六五八、六〇〇円であるのに、昭和五四年三月一四日、前記館林税務署において、同税務署長に対し、総所得金額が八、六九九、五一八円で、これに対する所得税額が一、二二六、二〇〇円である旨の虚偽の所得税確定申告書を提出し、もって、不正の行為により、昭和五三年分の正規の所得税額との差額四二、四三二、四〇〇円の所得税を免れ

第三  昭和五四年一月一日から同年一二月三一日までの間における総所得金額が五九、四九〇、九六四円で、これに対する所得税額が三〇、四八七、三〇〇円であるのに、昭和五五年三月一四日、前記館林税務署において、同税務署長に対し、総所得金額が一八、一六三、五六九円で、これに対する所得税額が四、六四一、六〇〇円である旨の虚偽の所得税確定申告書を提出し、もって、不正の行為により、昭和五四年分の正規の所得税額との差額二五、八四五、七〇〇円の所得税を免れ

たものである。

(証拠の標目)

一、被告人の公判廷供述

一、被告人の検察官に対する供述調書及び大蔵事務官の被告人に対する質問てん末書全部

一、館林税務署長の証明書添付の判示各年度の申告書類のコピー

一、脱税額計算書三通

一、修正損益計算書及び修正貸借対照表各三通

一、調査所得の説明書六通

一、売上除外金額明細表

一、簿外売上金額、簿外仕入、簿外経費等、架空外注費、譲渡所得及び除却損、その他所得、現金、預金残高及び受取利息、受取手形、売掛金、未収金、貸付金、前渡金、前払金、預け金、事業主貸借、支払手形、買掛金、借入金、未払金各調査書

一、大蔵事務官の須永鉄雄に対する五五・八・六付、一〇・一六付、五六・一・二一付各質問てん末書

(適用法令)

各事実につきそれぞれ所得税法二三八条一項(懲役と罰金の併科刑を選択、なお罰金額につき同条二項を適用)、併合罪関係の処理につき刑法四五条前段、四七条本文、一〇条、四八条二項(最も重いと認められる第二の罪の懲役刑に法定の加重をした刑期、及び各罪の罰金額を合算した金額の各範囲内で主文のとおり量刑)、懲役刑の執行猶予につき同法二五条一項、罰金の換刑処分につき同法一八条、訴訟費用につき刑訴法一八一条一項本文

(裁判官 藤井登葵夫)

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例